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「そしてテレビは“戦争”を煽(あお)った~ロシアvsウクライナ2年の記録~ [その他思う事]

NHKスペシャル「そしてテレビは“戦争”を煽(あお)った~ロシアvsウクライナ2年の記録~」を見ました。

最初は淡々と、ロシアとウクライナがどういう状況で戦争を取り上げていたかを説明していましたが、後半からはかなりの新事実を叩きつけてくる展開でした。
当初は自制しつつ客観的であろうとしたメディアが、しばらくすると愛国心とのせめぎ合いで自国のプロパガンダっぽく傾いていく様子とか。
ネットの画像が感情的なコメントが重なって拡散され、都合の良いように利用されたり。
ロシアのトーク番組のスタジオの裏側では出演者のウクライナ人をもっと司会者が責め立てるように指示してたりする様子とか(よくロケ出来たと思います)。
ネットの危うさ(第三者のコメントが拡散するうちに事実としてすり替わる)もありましたし。
個人が自分で価値判断したと思っていても実はそこには巧妙な仕掛けがあるんだぞ、と受け取れる部分もあるし。

ひょっとしてこれが今の「情報戦」じゃないの、とか思ってしまいました。
圧倒的な情報で「雰囲気を作った方が主導権を握れる」ってところとか…

この番組、実はメディアに関わっている人に対しての様々なメッセージが込められているような気がします。

事実を淡々と描いて、わざと盛り上げたりしないのは演出なのか、派手さはないけど凄く玄人好み(?)の番組だったと思います。
安っぽい感情論とか出てきません。その分、番組への感情移入は難しいです。
でも良質のドキュメンタリー番組だと思います。
面白いから絶対見たほうが良い!と勧めることは出来ないかもしれません。だって興味ない人は本当に興味ないだろうし。でも心あれば見て欲しい!

あと今のネットって危ういよな、いまのメディアって信用できないよな、でもじゃあほんとにそれだけなのか。
パンドラの箱が開いた時最期に残った「希望」は、今の私たちにはないのか?とも考えるんですが、この番組の最期の方には、ちゃんとその要素も見せてくれるんです。
ウクライナのオデッサでロシア系住民とウクライナ住民が衝突して火事が起き何人も亡くなる悲惨な事件がありました。
その時ロシアのメディアは悲惨な出来事を利用して敵対している勢力はひどい連中だと盛んに伝えました。
火炎瓶が投げられたりする一方で、火災から逃げ遅れたロシア系住民をウクライナの住民が助けようとしている様子とかも実際は記録されているんです。
でもそれはまったく注目はされない。(多くの人にとって興味がなかったり、都合が悪いものだから)
でも、きちんと撮影しているジャーナリスト(地元ウクライナ)がいる、そしてその人は映像の価値も判っている。
それを見たときに、凄く安心したというか希望を感じたんですね。
そんなに人間は馬鹿じゃない。

たぶん、たぶんですよ、この番組はロシアにもウクライナにも作ることは出来なくて、日本だから作れたんだと思います。
どっちよりというスタンスじゃないんです。どちらにも等距離でいて、しかも見下した視点がないんです。
だから最後の最後で「希望はまだあるよ」という要素が入った気がします。

さらには「日本はこの距離感でとらえるべき」という絶妙な距離感でした。
ひょっとして、日本はこの関係仲裁出来るんじゃないのか? とも思えるほど。

再放送は5月28日午前2:05だそうです(実際は27日の夜遅くですね)
見逃した人はぜひチェックして見てください。
安易にドラマ仕立てにしてない分、凄く示唆に富んだ番組です。
特にメディア関係者は見てほしい番組です!
(特に番組始まってから20分以降はおもしろいです)
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